途切れさせない志
「変えてみようぜ」―。飯島豊会長、約束はまだ終わっていない。群馬県や前橋市で手話言語条例が施行されて10年。この節目に手話関連の催しが相次ぐ今、決して忘れてはならない人がいる。飯島会長は、ろうあの先人で条例制定にも尽力した。5年前に76歳で逝ってしまった。
42年前、聾学校を卒業した私は、ろうあ者への偏見や雇用の壁に苦しんでいた。会社を辞めて大学で学び直すべきか相談した私に、飯島会長は言った。「わざわざ会社を辞めなくていい。一緒にろうあ運動をやろう。『おもしろきこともなき世をおもしろく』の精神で、差別のある社会を変えてみようぜ」。その一言が、私の人生を変えた。
学歴のない私だが、先人たちが血の涙を流して築いたろうあ運動の中で、生きた学びを得た。上毛新聞「ひろば」への投稿も、飯島会長との約束から始まった。酒を酌み交わし、「俺も投稿する。どちらが先に掲載されるか勝負しよう」と笑い合った。しかし、私の初めての投稿が掲載された時、飯島会長はもういなかった。「約束はまだ終わっていません。私はこれからも書き続けます」。人は亡くなっても言葉は残る。言葉は志となり、次の世代を動かす。先人が命を懸けて切り開いた道を、決して途切れさせない。