「もしも」から「いつも」へ
私の祖父、両親、兄弟は全て、ろうあ者です。祖父と母は東京大空襲を体験し、母は幼い頃に戦争孤児となりました。父も前橋市の空襲を体験しています。
戦争を生き抜いた両親に、私は一度だけ尋ねました。「戦争と自然災害、どちらが怖い?」。答えは今も忘れません。「戦争より自然災害の方が怖い。突然、来るからだ」
聞こえない私に、両親は生きる術を教えてくれました。「新聞やテレビの字幕で情報を確認する」「少しの揺れでも目が覚めたら、すぐ行動する」「何より、いのちを守ることを第一にする」と。
避難所では「聞こえない」ことが壁になります。だからこそ、障害者バンダナなどで周囲に伝えます。「聞こえないから不便」で終わらせず、聞こえないからこそ工夫する必要があります。
近年、地震や大雨が相次いでいます。防災は「もしも」ではなく「いつも」へ。両親から受け継いだ「いのちを守る知恵」を、私は発信し続けます。
「備えることは、恐れることではない。大切ないのちを守る覚悟である」